墨田区 向島・牛島神社 釈迦一尊図像板碑(今亡)
東武伊勢崎線業平橋駅から徒歩約7分。墨田区向島一丁目、言問橋詰の南側、隅田公園に隣接して鎮座する牛嶋神社は、貞観二年(860年)慈覚大師の勧請創建という古い由緒を伝える。本所地区の総鎮守で、墨田区のほぼ南半分に近いたいへん広い地域が氏子となっている。
御祭神は須佐之男命(すさのおのみこと)、天之穂日命(あめのほひのみこと)、貞辰親王命(さだときしんのうのみこと)。
社殿は総檜権現作りの風格のあるもので、本殿前の鳥居は木製の三輪鳥居。三輪鳥居というのは中央の鳥居の左右に小さい鳥居の付いたもので、全国でも珍しい。
当社に『江戸名勝図会』に出てくる釈迦一尊図像板碑があったという(金沢邦夫「東京都画像板碑一覧』世田谷区立郷土資料館「中世の信仰と石刻美術展」パンフレット収載のリスト)。其処には裏面に貞観一七天の偽銘あり。加藤諄氏蔵画像および偽銘拓本と記す。早稲田大学会津八一記念博物館のデータベースに加藤諄手拓収集 日本金石拓本コレクション(暫定版)(2001.3.31公開)があり、本塔が収録されている。
服部清道の大著『板碑概説』635~6ページにおいて、拓影を掲げ明治16年10月25日坪井氏とともに実見したが、貞觀十七未天三月日は偽銘であると解説する。又、同書第15図岡村氏論文挿図として「人類学雑誌」第35号からの線図を入れる。