閑話休題(2) |
★さいたま市立浦和博物館
JR京浜東北線「北浦和」駅からバスで「さいたま市立病院」行きで終点下車、目の前に建っている。明治11年(1878)に建てられた埼玉県師範学校の校舎(鳳翔閣)の外観の一部を復原したものという。
今回の訪問は勿論、展示されている数基の板碑群のうち、勢至菩薩図像板碑(2基)を実査する事にあった。特別拝観許可を予め教育委員会宛に出して許可を得、展示している板碑を1基ずつ別室に運んで実測・撮影・採拓を行った。詳細は資料の整理がついたらまた取り上げたい。この板碑は文明十七年在銘の月待ち供養板碑である。写真の右2基が勢至菩薩図像板碑である。
その外、館内を見学していて世界最古の印刷物である「百万塔陀羅尼経」が展示されているのに気づいた。
これは称徳天皇(孝謙天皇の重祚)の神護景雲四年〜宝亀元年(770)に印刷の完成をみたもので、恵美押勝の乱が平定した時に称徳天皇の発願により、100万基の23cmばかりの木製の三重の塔をつくり、この中に陀羅尼4種(根本・相輪・六度・自心印)を同じく100万部印刷し、一部ずつをその中に収めて、時の十大寺に10万基ずつを収めたという。印刷方式は木版説と銅版説があり、色々な研究の結果両方式が使われていたようだとされる。その後殆どは散逸し、現在は法隆寺に数百基が残る(国重文)。記録では明治時代に経済的に疲弊した法隆寺では寄進者にこの塔を与えたと言われる。現在でも古書店や古書市に出ることがあるが100万円くらいの値段が付いていることが多い。現在奈良国立博物館の平常展示に四種の陀羅尼と木塔が展示されている。