福島県の来迎石仏・板碑(13) |
『福島県の弥陀来迎三尊石仏』を上梓して以来、新しく所在の判ったものが有るが、この地域においても3基が新たに判った。
A. 西田町根古屋・太平山精舎よこ 来迎板碑
郡山市の東北部に当たり、東は三春町に接する。根古屋小学校の東側にあたり細い山道を登ると「太平山精舎」という額の架かった小さな堂があり、弘法大師の石像が祀られる。 その小屋の左後方に11基の近世の石塔が立ち、少し離れた所に来迎板碑が1基離れて立つ。地上高100.3cm、幅46cm、厚さ14cmで中央部で折損するのを継ないである。輪郭を巻き内側を0.8cmと浅く彫り窪め、その中に通形の弥陀三尊像を薄肉彫りすが観音像は石面が剥離して上半身の一部が残るだけである。この地域で唯一のもの。
B. 横川町・愛宕さま 弥陀三尊図像板碑
菅布禰神社の向かいの丘の上にあり、石殿の奥壁に嵌め込まれている。石殿右壁には慶応二年十二月吉日の年紀と四名の世話人の名を刻み、左側面には「惣村中 庄屋橋本伊衛門 別当本学院」と刻む。
来迎板碑は地上高67cm、幅約50cm、厚さ約7cmのもので、拓影からも判るように脇侍二菩薩の下半身以下を欠失する。観音像の右側には小さく念仏行者の坐像が同じく薄肉彫りされ、三尊共に左から右を向いた早来迎形のものである。
C. 下白岩町 弥陀三尊石仏
阿武隈川右岸の丘陵地に位置し、郡山駅前から出る「あぶくま台」行のバスで終点下車、団地を通り抜けて約1kmの道より少し高い畑の中に庚申塔に立てかけて立っている。
総高105.5cm、下幅75cm、厚さ13cmの不整形の安山岩製。長方形の枠を彫り沈め早来迎形の弥陀三尊像を薄肉彫りするが、像だけで蓮座や飛雲は刻まれていない。更に観音が両手で差し出す蓮台の右には三体の人物と思われる浮き彫りが見られる。これまでの来迎石仏・板碑で見られなかった(これからも無い)もので、果たして人物像かどうかもよく判らない。