東京都(二十三区)の図像板碑(22) |
東京都台東区 浅草2 浅草寺伝法院 弥陀一尊図像板碑
伝法院庭園内の経ケ島に保存され、内側に向かって立てられており、この地は聖域として一般人の立ち入りを認めていない。
『台東区の板碑(浅草篇)』(台東区文化財調査報告書第15集 平成6年3月)によると、昭和29年11月3日、本堂西側瓜生岩子銅像付近で出土と記載される(7ページ)。これによると、高さ158センチ、上幅33、下幅36センチで、厚さは塀に嵌め込まれていて不明という。
頭部山形の下に二条の刻みを持ち、下の刻みの中央に火焔宝珠が刻まれる。二条の刻みから身部を取り巻くように凵状の枠線を刻み、塔身の上方に大きくB体といわれるキリークを薬研彫りする。その下に二重の頭光をおい、蓮座の上に立つ来迎印を結ぶ阿弥陀如来を刻む。面部・手足は石面の高さに残し周りを彫り沈めて浮き彫りとする。路湯手は第一指と第二指を合わせる印相などは今もよく残されている。蓮座の左右下に大きな華瓶といけられた蓮二茎を陰刻する。
華瓶の間、蓮座の下方に「文永九年(1272)/壬申/卯月」と年紀のみを刻む。弘長・文永年間にこのような種子と像容を併せ彫る複合式といわれる図像板碑が見られる。拓影は嘉津山清氏によるもの。