【番外8】九州の図像板碑(8) |
玉名市伊倉北方 俗称堂山 報恩寺跡(2) 弥陀三尊種子板碑(補陀洛渡海板碑)
本堂山に遺存する板碑の多くは図像板碑であるが、数少ない種子板碑の中の一基が玉名市に見られる『補陀洛渡海板碑」である。
地上高126センチ、地上幅102、厚さ 12センチの背面不整形の大略三角形を呈した安山岩製の板碑。
石面のほぼ中央当たりを下端に蓮座を線刻し、その上に同じく線彫りの月輪を刻み、その中にミダ種子キリークを浅く薬研彫する。ラは普通真っ直ぐに斜め上に伸びるのに対して本塔では曲がりくねった変わった形に作られる。蓮座の両端下辺りには脇侍の観音サと勢至サクを小さく彫り出すが、種子のみで月輪や蓮座は彫られていない。
中尊蓮座の下に一行、サ・サクの下に二行の銘文が見られる。
サ 本願尾刕之住月照上人
蓮座 補陀洛山渡海行者下野之住夢賢上人
サク 旹天正四年丙/子八月彼岸日敬白 (1576)
現在の所、九州における補陀洛渡海碑は先の玉名市繁根木・寿福寺跡と、本塔の二基が知られるのみである。