埼玉県の図像板碑(168) 大井町 |
東武東上線「ふじみ野」駅を南西へ徒歩約10分の所にある。道路に面した一隅に5メートル四方くらいの壇を築き、その奥に板碑を七基並べて立て下部をセメントで固定する。図像板碑は右から2基目である。
現高57センチ、最大幅26、厚さ2.8センチの、おそらくは弥陀三尊図像板碑であったと思われる左部分下方の残欠板碑である。現存の左上部に蓮座に乗る菩薩像の下半身が陰刻され、その位置からは勢至菩薩像と見られる。
石面の中央右寄りに華瓶の一部(蓮華)が線刻で残り、その左に2~3行の刻字があるが、風化が著しく交名らしきものと、左端に「現世大安」の刻字が辛うじて判読できる位である。又。石の右下方に「十一月吉日」と年紀の一部が残る。この位置から石は更に右部分があったことが考えられ、それらを総合して先のように三尊板碑の左部分と判断したものである。
なお、大井町史料第十集『大井町の板碑』(大井町史編さん委員会 昭和56年3月31日)40ページによると、大井東原古堂址から発掘したもので、南北朝期のものか?とする。また、三行にわたり交名を判読している。