埼玉県の図像板碑(145) 北本市 |
JR高崎線「北本」駅から旧中山道を通る熊谷行きのバスで「深井スタンド前」下車、この旧道と平行して走る国道17号の「埼玉三菱ふそう」社の向かいに建つ真言宗豊山派の寺院(北本駅と鴻巣駅のほぼ中間地点に当たる〜今はバスは無い)。
板碑は本堂前の覆い屋の中に全部で15基が保存されるが、その左端に板碑が積み上げられておりその中に弥陀三尊図像板碑がある。現高78.5センチ、上幅40、下幅42.7、厚さ3.5センチの緑泥片岩製で、中尊阿弥陀佛の上半身から上を欠失する。幅33センチ内外の枠線を線刻しその中に鱗状の巻き雲に乗った阿弥陀如来と、その下に頭光をおって右向きになった観音(像高16センチ)・勢至(像高15センチ)の両菩薩が線刻される。その飛雲の下に大きな敷き布を掛けた前机と三具足が同じように線刻される。
前机真下に「大永七年(1527)丁/亥十二月吉日元/清」と他に比べて大きな文字で、上から下へ行くほど文字の間隔が大きくなる状態で刻まれ、その左右に「念佛供養/本願□□□」とあり、さらに道金・道晃・妙心・妙金・妙秀などの法名と小二郎・七郎二郎・九郎三郎などの俗名が総計40名近くをびっしりと刻んであるが、判読できない交名も多い。全体に稚拙な印象を受ける図像板碑である。
石の下端には幅33.5センチの根部が作られるが、下端は折損する。
覆い屋の右端には現高118センチ、上幅35、下幅38、厚さ5.5センチのキリーク種子(B型)板碑があり、建長三年八月の銘を有する。