埼玉県の図像板碑(34) 比企郡川島町ー5 |
長楽の集落北部を東西に流れる長楽用水路横の町道端に立っている。
地上高125.7センチ、上下幅57、厚さは上部で9.5センチ、下部で7センチ。頭部は三角に尖り緑泥片岩製であるが、武蔵板碑の形式をとっていないところから自然石板碑とした。
不整形な山形をした石面の碑面12.5センチ下から69センチの大きな舟形光背を浅く彫り窪め(下幅49センチ)、蓮座上に像高49センチの結跏趺坐する定印の弥陀像を薄肉彫りする。光背の中に更に線刻の二重円光背を作り外の光背との間に円弧を画くような線を刻む。兵庫県加西市の石棺仏に似た光背を持つものがあったが板碑では珍しい。埼玉県の板碑調査を永年続けている坂田二三夫氏は「歴史考古学」第15号誌上でこの板碑を鎌倉中期の板碑初発期に遡る造立と考察を発表された。
背面に近世の供養塔として再利用した銘文がある。
「 天長 享保十一丙午 長楽村 横田茂太夫
バク 奉納大乗經本朝回國一千部供養所
地久 三月日 法名権大僧都常楽印勝寛」