福島県の来迎石仏・板碑(16) |
中心地の須賀川市の来迎石仏を暫く紹介する。
A 古屋敷来迎石仏
阿武隈川西岸にひろがる丘陵地帯を鎌倉街道が通っていて、西白河三城目—岩瀬郡成田—前田川広町—芦田塚—中宿と結び、支流の釈迦堂川に到る。かつては此処に岩瀬の渡しに通じていたという。この釈迦堂川南岸一帯が古屋敷で、石井家の庭先に祀られる。
B. 十念寺来迎石仏
市街地の中央通りを東には行った所に建つ浄土宗の寺院で、境内には芭蕉や地元の俳人多代女の句碑などがある。本堂の西から北へかけて広い墓地があり、この中に二基の来迎石仏がある。
右のものは、本堂西側の江戸時代の墓塔の中に石柵に囲まれて切石の上に立てられる。総高115cm、下幅54、下幅64cm、厚さ17cmの凝灰岩製である。石の正面をほぼ長方形に約3cm彫り窪めて、その中に正面向きの阿弥陀如来が瑞雲の上に立ち、その下方に向かい合って脇侍菩薩が立っている。
左のものはその南側の一画にあり、地上から約2/3の辺りで折損し、上部は後ろに転倒している。重ね合わせて高さ74cmの大きさを測る。中尊の方から上を欠失する。