群馬県の図像板碑(23) |
JR「高崎」駅から群馬温泉経由渋川行きのバスで、渋川街道を北へとり約45分、田中のバス停で下車。すぐ手前の信号を西にとり約800メートルの、道の左側に田子家がある。 板碑は現高26センチ、上幅25.5、下幅24、厚さ2.5センチの緑泥片岩製のものである。石の頭部は山形に整形され、二条線を細い線刻で表す。二条線や枠線以外にも数本の毛彫りの刻線が見られる。石の頂部から8センチ下から上辺は二重になった輪郭を線刻し、その中に直径5センチの頭光をおい、右向きで右手を胸元に挙げた阿弥陀如来像を、顔の周囲を浅く彫り凌えて陽刻とし、衣文の壁は薬研彫り風に彫り出す。面容は目鼻まで鮮明に残っている。放射光は22の方向に放たれ、右下の二条は長く石の端まで仲びている。放射光の先端はTの字形に彫り止めている。このような例は富岡市・栖雲寺塔でも見られた。像の上半身から下を欠失する残欠である。
なお、当家には総高66.5センチの無銘の弥陀種子板碑も遺されている。