群馬県の図像板碑(11) |
高崎市の東部に位置し、町の北東を井野川が流れる。JR「高崎」駅から国道354号線を走る玉島方面行きの群馬中央バスで、寄居まで約15分、そのバス停から北へ群馬女子学園を過ぎ徒歩で約10分余り、井野川の手前の松本建材の居宅まえの空き地の一角、椎の木の下に西南面して切り石に下部を挿入固定している。
現高58.5センチ、上幅41.5、下幅42.2、厚さ4センチの緑泥片岩製の板碑で、頭部はほぼ平らで角が丸くなっているが、頭部山形は折損したものと思われる。正面上部に二条線を線刻し、側面に羽刻みが認められる。二条線の直ぐ下から幅14センチ、高さ4センチと石面に比して小さい天蓋を陰刻し、その下11センチ隔てて来迎印をとる右向きの阿弥陀如来の像を、像の周りを約1センチの幅で彫り窪めた中に薄肉彫りで表している。膝のあたりから下を欠失するが、像高は現在の状態で29.5センチである。なお、放射光や頭光は彫り出されておらず像容のみである。風化が著しく石面は荒れていて全体は不鮮明な状態になっている。
『高崎市史』中世資料編(平成8年4月発行)では「像の頭部が線刻でなくレリーフ状に浮き出されている像の表現方法から考えて、線刻よりも古い時期の造立と思われる。」と述べ、鎌倉時代のものとする(589ページ)。