福島県の来迎石仏・板碑(80) |
★本沼・西ノ内来迎石仏3
さきの石龕の中には、素焼の大黒天像などが多数納められているほかに、紙くずや落葉が散積するが、この中に凝灰岩製の像を陽刻した断片が三個あるのに気づいた。取り出して組み合わせてみると、右上部のワクと阿弥陀如来の頭部の断片と、阿弥陀如未の身体部の断片、更に勢至菩薩と左辺のワクの断片の三片であり、それぞれがきっちりと接合できることがわかった。
復元して考えてみると、横巾45㎝、高さは勢至像の膝までで56㎝あり、長方形の輪郭があったと思われる。厚さは10㎝の白っぽい凝灰岩製である。残された像を見ると、ずっと左の方に寄っており、勢至像の背は輪郭の周縁に接していて、共に右下方を望んだ早来迎形である。観音像や残りの部分の断片も探したが、見当らなかった。
断片とはいえ一箇所に3基もあったのは初めてである。