東京都(二十三区)の図像板碑(21) |
東京都北区 赤羽3 宝幢院 阿弥陀像・二猿山王塔
JR「赤羽」駅の線路に沿って北へ約五分の、板橋道が日光・岩槻街道と合流する通りに面して立つ真言宗豊山派の寺院で、門前に「元文五年十二月」の道標が立っていて北区教育委員会の案内板がある。
石塔は山門を入った右手に地蔵石仏と並んで立てられる。地上高114.2センチ、幅は上下共に45.8、厚さ23.5センチ(背面は不整形)の安山岩製。頭部を山形にし、高さ21センチのところで1.2センチ塔身からせり出しており、中央に半円の刳り方を入れる。塔身に枠を取り、表面・枠・塔身と順次彫り下げて3センチに及ぶ。下部には高さ24センチの台座が作られ上端45.8センチに下端53センチと末広がりに作られる。
塔身上方には像高22.5センチで頭光(8.7センチ)をおう正面向きの阿弥陀立像を薄肉彫りし、足元に線刻の蓮座が刻まれる。その下方には共に内側を向いて阿弥陀像を振り仰ぐ、烏帽子姿の二猿が飛雲の上に立っている姿を彫る。縣敏夫氏は「図説庚申塔」の中で「上部に本尊として阿弥陀如来の立像と、それを拝む左右の猿を浮き彫りで表しているのは、中世の板碑にみる弥陀三尊来迎図に影響を受けた構図と思われる」(98ページ)と解説される。
弥陀像の肩の所に「山王廿一社」と横刻し、二猿の下に「岩渕赤羽根村/宝幢院祐真/寛永十六年(1639)己夘霜月十八日」の銘文を刻む。