東京都(二十三区)の図像板碑(5) |
JR総武線「新小岩」駅の北東約一キロの住宅地の中、道路脇を少しはいった屋敷角に小祠を作り、その中に下部をコンクリートで固めて祀られる。
現高105センチ、上幅32.8、下幅35、厚さ3~3.5センチの緑泥片岩背の図像板碑で左下部に一部剥離や浮きが見られる。身部に上辺28.5センチ、下辺30.3センチに高さ79センチの枠線を彫る。枠線内上部に日月を彫り沈め、枠線から9.5センチ離れて像高27.5センチの正面向きの蓮座に乗る阿弥陀来立像を彫る。三重の頭光をおいそこから二一方向に枠線まで伸びる二条ずつの放射光を放ち来迎印をとる。蓮座の下の飛雲は彫利出されていない。
蓮座の下に短い足の付いた長方形の机を平らに浅く彫り窪め、その上に香炉を同じように陰刻して乗せている。室町時代の民間信仰にかかわる図像板碑では、華瓶・香炉・燭台の三具足を敷き布を掛けた前机に載せた形式で表される場合が多く(前机・三具足)、本塔のような例は至って珍しい。『葛飾区板碑調査報告』では<卓上三具足>と記す(24ページ)。
その香炉の下に三行の銘文、左右に三行ずつ四~五段わたり多数の交名が彫られる。
「 道仙 妙西 正祐 正本(カ)道泉
明慶 道明 道祐 道西 妙秀
道全 道院 道空 道法
寛正六年乚/酉 (1465)
奉 月 待 供 養 結 衆
十月廿三日
道春 正圓 道善 道生 妙□(剥離)
妙慶 正善 明秀 妙界
源長
明性 妙仙 道順 正善」