【閑話休題】木製の宝篋印塔 福島で発見 |
供養塔の搬出始まる 木造で国内最古の可能性 いわきの金光寺
「宝篋印塔」と呼ばれる供養塔の中で、木造としては国内最古の可能性がある、いわき市鹿島町の金光寺にある二基の仏塔の搬出作業が15日、始まった。塔は奈良県の元興寺文化財研究所に運ばれ、詳細調査が行われる。
搬出作業は同研究所の狭川真一副所長と山形県立博物館の山口博之学芸専門員が行った。同寺の箱崎亮弘住職や市職員が立ち会う中、塔上部の「相輪」、中部の「笠」、下部の「基礎・塔身」に分け、薄紙などを使って丁寧に梱包した。16日朝に出発し、17日には奈良県に到着する。
塔は同研究所員が材料となった木の種類の特定や記された銘文の解読を進め、作成年代の確定を図る。10月下旬には同県で開かれる仏塔展示会に出展され、11月後半に金光寺に返却される予定。
金光寺の宝篋印塔はいずれも高さ約90センチで市指定文化財。塔には鎌倉時代の「文保」(1317~18年)の文字が記されており、14世紀前半の作品と考えられる。
狭川副所長によると、室町時代ごろから高さ15センチほどの木造の宝篋印塔が作られているが、金光寺の塔のように大きく、供養を目的とした墓塔の意味を持つ宝篋印塔は室町時代にはないという。
【追記】
平成27年5月1日に、いわき市指定文化財として指定
調査を経て10月24日から奈良市で開かれる仏塔の展示会に「目玉」として展示する。
展示会は10月24日~11月8日、奈良市の元興寺法輪館で「秋季特別展 小仏塔の世界~舎利奉納と遺骨埋納」と題し開催される。