埼玉県の図像板碑(169) 鶴ヶ島市 |
東武東上線「鶴ヶ島」駅の西北約1.5キロの、川越市の市域に入った所にある共同墓地入り口を入って直ぐ右側に立つ。圏央道建設に伴い鶴ヶ島市五味ヶ谷480番地から移転したものと、この板碑の基礎石に施主の滝島一郎氏が刻んでいる(平成11年3月)。
板碑が現高57.3センチ、上幅39.6、下幅40.7、厚さ3センチで、幅34センチの枠線を刻み、上端は飛雲と思われる曲線模様を刻んだ半ばから上を欠失する。
この飛雲の下に「毎日晨朝入諸定/入諸地獄令離苦/旡佛世界度衆生/今世後世能引導」(毎日夜明けに諸々の定に入り、諸々の地獄の人々の苦を除き、無佛世界の衆生を済度し、今世後生によく衆生を導く)という『延命地蔵経』の偈頌を刻む。不空訳というが偽経であるという。その偈頌の間に「永和元年乙/夘十二月日」(一三七五)の年紀を刻む。