埼玉県の図像板碑(147) 旧吹上町(鴻巣市)2 |
先の図像板碑と同じ所にあり、総高121センチ、上幅43.7、下幅49、厚さ5センチの緑泥片岩製の板碑であるが、比留間博氏によれば石材は異なるという*1。二条の刻みの下に高さ5.3センチの額部を持ち、その6センチ下から27センチの挙身光背を1センチの深さに彫り窪め、正面向きの来迎印をとる阿弥陀如来立像を陽刻する。請花・反花をもつ蓮座も先のものと同じである。
その下に
「光明遍照
十方世界
右比丘尼造立也
念佛衆生
摂取不捨」
と彫る。先の板碑が年紀を彫る所に「右比丘尼造立也」と彫る。
昭和54年2月に出土し、像容や文字の配置はほとんど同じであるところから、夫妻の双式板碑と考えられている。比留間氏は「一組だから年紀は片方だけでよく、(在俗の夫)入道の追善塔と、それを機に出家した後家「比丘尼」の逆修塔と見るべきでないか」という見解を示している。
注:*1 肥留間博「陽刻板碑巡礼」(『武蔵野』第59巻2号 昭和56年10月30日)