埼玉県の図像板碑(133) 鴻巣市(2) |
勝願寺墓地 種子・六地蔵図像板碑
JR高崎線「鴻巣」駅東口から北東へ徒歩で約15分。浄土宗関東十八檀林の一つで、建長四年(1252)浄土宗第三世然阿良忠記主禅師の開創と伝える古刹である。板碑は墓地の南よりに西面して切石の上に立てられる。
現高132.5センチ、上幅49.2、下幅52、厚さ6~7.5センチで、蓮座の上から斜めに欠失する。種子は剥落するが恐らくはキリークであろう。
石の両端3.5~2.5センチの内側に.枠線を線刻し(下端で幅46センチ)、その中に先の蓮座の下7.5センチ離れて約17センチの大きさに、頭光(8センチ内外)をおい蓮座の上に立つ三体ずつの地蔵像を二段にわたって線刻する。地蔵像はいずれも右手に錫杖を、外に向けた左手に宝珠を持つ姿で彫られる。
六地蔵像の下に
「光明遍照/十方世界
康安二年十一月廿/五日 (1362)
/念佛衆生/摂取不捨」
の偈頌と年紀を彫り、その偈頌の下に小さく「性佛/道一/希善/八郎五郎/聖裕」と五名の交名を彫る。
板碑の上部に種子を薬研彫し、その下に図像を彫る複合型板碑は比企郡嵐山町・宗心寺塔(文永九年)、比企郡吉見町・おねんぼう様塔(文永十二年)、行田市・宝泉寺塔(弘長元年)、行田市・盛徳寺塔(文□)、行田市・観福寺塔(文応二年)、羽生市・薬師寺塔(年不詳)があり、文応から文永の間に限られる点で注目される。