埼玉県の図像板碑(106) 川口市(3) |
市の南東部で荒川に接する地域。JR高崎線「川口」駅東口から「エルザタワー循環」バスで、約15分の領家一丁目で下車、徒歩約10分足らずの所にある天醫山光音寺は曹洞宗の寺院である。山門入って直ぐ左手にたつ無縁塔の東面に二基の図像板碑が下部を固定して祀られる。
総高79.6センチ、上幅28.7、下幅29、厚さ3センチのもので、四石に割れるのを接合し、背面をセメントで固めて保存される。頭部山形の下に二条の刻みを持ち、身部に幅25.5センチの枠線を巻く(下端は埋め込まれていて不明)。その上方に直径4.5センチの日月を左右に陰刻し、それに接するように天蓋が広がる。両端には二段になった瓔珞が垂下し荘厳される。
二重の頭光をおい幅10センチ、高さ2センチの蓮座の上に立つ阿弥陀如来像は、正面を向いて右手を胸元に挙げ左手を膝当たりに垂下した来迎印をとり蓮座の上に立つ。蓮座の下には前机が置かれ、左から三茎蓮を活けた華瓶・香炉・燭台の三具足が並ぶ。
前机の両側から梵字の光明真言が一行ずつ分かち書きされ、前机下中央に「月待供養結衆」、其の左右に「天文七年(1538)戊/戌」「十一月廿三日」の年紀を刻む。更にその外側に「九郎三郎 □三郎/左近四郎」反対側に「左法門二郎 四郎己郎」と交名が読まれる。
月待板碑で本尊を図像で表すものとして年紀の明確なものとしては本塔が最新のものである。因みに年紀のハッキリした月待板碑は27基が知られる。