埼玉県の図像板碑(58) 児玉郡6 |
◆児玉郡児玉町保木野・鈴木家 キリーク種子・宝篋印塔板碑
集落は同じだが、先の鈴木家とは別のお宅。
現高113センチ、上幅34.2、下幅37、厚さ4センチで、上部をキリーク種子の半ばから上を欠失する。下部は26.5センチが幅30センチと細く根部を形成する。
身部には輪郭を巻かず、上部に石幅一杯の大きさに彫る蓮座の上に阿弥陀種子を薬研彫りする。その蓮座蓮実のところにカ・イ・イと地蔵種子三字を小さく彫る。その下に高さ50センチの大きさに関東式の宝篋印塔の反花座から上を薄肉彫りし、塔身にバン、二区に分けた基礎にサ・サクの種子を彫るが、サ・サクは蓮座を伴う。。阿弥陀心咒(オン・ア・ミリ・タ/ティ・セイ・カ・ラ・ウーン)を種子で宝篋印塔の両側に彫り、更に石面右端に「感無量壽経」の偈頌、左端に「涅槃経」の偈頌を一行ずつ彫る。阿弥陀心咒の下に「比丘尼妙阿七分全得逆修也/貞治三年(1364)甲/辰八月時正日」の銘文が読まれる。
これと同型の板碑が隣の神川町植竹577・長慶寺にあり、「右志者為沙弥道栄七分全得逆修也」と刻まれ、当家の寄進によるものという。