埼玉県の図像板碑(16) 東松山市発見の新資料 |
平成20年12月から21年2月まで、埼玉県立嵐山史跡の博物館で開催された企画展「板碑が語る中世」にて初公開された図像板碑。
東松山市大谷吉庚(よしかね)の丘陵斜面から出土し、近くの用水に阿弥陀橋と呼ばれて架けられていたのがいつか放置されていたという。上部が失われているが嘉禄三年銘の図像板碑と同大の大型板碑と推定されると同展の図録にある。
現高136センチ、上幅・下幅ともに65、厚さは左が厚く8センチで右はそれよりも薄い。石の左側面はほぼ平らに加工される。背面は不整形。石の上部中央に蓮座の上に立つ阿弥陀如来像の下半身が残る。その左右に脇侍菩薩像が挙身光背を背負って立つ。勢至菩薩の足元の蓮座はいわゆる臼型蓮座であるので、他の像も同様と見られるが表面の摩耗が進んでいてハッキリしない。観音像の両腕は腰の辺りにあり蓮台を捧持する形を示し、勢至像は肘の角度から合掌する姿と見られる。三尊ともに摩耗が著しく像の輪郭を残すだけである。
初発期の図像板碑に似たものといえるのかと思う。現在同館で常設展示される。