群馬県の図像板碑 (32)東楊寺 弥陀一尊図像板碑 |
町の中央南部、利根川の左岸に位置する。新田氏の有力な一支族大舘氏はここによっておこった。誉田別命を祀る薬王山瑠璃光院東楊寺は天台宗の寺院である。
御住職の三輪真洞師の話によると、板碑は昭和55年頃に行われた本堂の屋根葺き替え工事の折りに紛失し、その後探したが出てこず現在行方不明。元は本堂裏の墓地に有ったものを、地元の郷土史家が発見し戦後寺に寄進したものであるとの話である。
『群馬県史』資料編8によると、写真が掲載され、本文中に「阿弥陀一尊立画」板碑として<高さ32.5センチ、幅18.0、厚さ2.0センチの大きさで下部を欠失する。二条線・枠線があり、「逆」の銘有り>と記載される(686ページ)。写真によると、二条の刻みの下に輪郭を陰刻線で表し、その中に頭光をおった線刻の阿弥陀像が蓮座の上に立つ姿を彫る。頭光の中に18本の放射光を線刻するが、その間隔は不均一で像も含めて稚拙な作品である。時代的には室町後期の造立と見られる。なお、蓮座の下に「逆」「文」と見られる刻字の一部が認められる。